そもそも耳ツボが効くかどうか、科学的に明らかになっているのでしょうか?効くという研究結果も、効かないという報告もあり、両者の根拠とする実験モデルも様々です。わが国の西洋医学的常識にのっとって言えば、「根拠がない」といわれています。そしてほぼ全ての代替医療がこの「常識」によると根拠なしとされています。
肥満に対する耳鍼の効果は国内外で長いこと研究されてきましたが、その結果は様々でした。もともと肥満の原因やそのメカニズムに対する明確な応えが無いうちは、なぜ効くのかということを論じるには不十分であったと思います。耳鍼ダイエット肯定派は結果として実験対象群の体重減少を示しその根拠にしていますが、否定派を黙らせるにはその効果機序を明らかにしなければならないでしょう。したがって近年は耳鍼の及ぼす自律神経的、内分泌的変化を検証し、ダイエット効果を説明しようとしています。この分野では日本人研究者が優れた論文を発表しています。世界的に見ても日本人研究者の発表している耳鍼肥満治療の論文は、質量ともに優れており、このブログでも紹介していきます。
日本国内の耳鍼療法を用いる治療師又はサロン経営者、耳つぼダイエットを推奨する立場の意見の多くがこれらの内の肯定的な研究結果を根拠としていますが、これで説明しきれているかどうかは疑問です。(実際日本肥満学会、というなんだか国内の肥満問題のオーソリティーのような学会では、耳鍼研究の効果に対しては懐疑的な立場です)しかし公平に見て、耳鍼が体重減少に何らかの効果がある、というのは間違いありません。
ノジェ派はどのようにとらえているでしょうか?ノジェはその著書で「肥満治療は薬物中毒やアルコール中毒などよりも複雑で困難である。耳鍼療法だけでなく、栄養学、運動学、内科、神経内分泌科、精神科などの治療とあわせて行うべきである」といってます。その息子R.ノジェも自著の肥満治療のページの半分以上を食事指導に当てておりその重要性を示しています。つまり耳鍼療法の総本山からして、耳鍼=ダイエットの主張を強くはしていないのです。
そもそも何で耳鍼=ダイエットという図式が成り立ったのでしょう?耳鍼創生期までさかのぼってみましょう。
(耳鍼ダイエットの歴史につづく)